598.「★ごぶさた・あいらんど」

※神余くんの世界史あいらんど…河合塾世界史講師「神余秀樹」先生(吉崎の恩師)の“ちょっとdeepな”世界史をご紹介します。

ごぶさた・あいらんど

世間の話題は、内閣改造…より阪神優勝。いや、どーなる?ジャニーズ(※1)。

僕の如き歴史屋の注目は、英・アーム社(※2)IPO(米国市場に!)孫正義という男の戦いの人生は、いずれ世界史の教科書に載って然るべきと、僕は思う。

(※1)「その世界」で「力のある人」なら横暴なことも黙認される風潮(「猪木だったら何やってもいいのか!」と前田日明)。「空気読めよ」「全体の利益を考えろ」etc. たまたま芸能界で噴出しただけで、他の分野の他の組織でも、今でも隠蔽されている問題は他にも多くあるはず…。(僕の経験では1983年、某組織内で生じ、一瀉千里で一気に全国化した事件が、その後の“Me too”の始まりにも見える。)
(※2)半導体設計大手。英国のEU離脱決定でポンドが下落した瞬間、孫氏が即座に買収に動いたのは記憶に残る。

面白くなって来たぞ!

 30年以上、あまりにも変わらなかったこの国の景色もようやく動き始めた感もある。
 昭和以来の終身雇用・年功序列・企業内組合。この3点セット、かつて満州国の革新派官僚・岸信介らが開始した計画経済が、戦後の高度成長の骨組みとなった(通産省の“護送船団”方式のもと(※)。

たとえば「就」というけど実は「就」でした。あとは「会社にしがみつく人生」か。そんな常識が今まで続いていた方が、不思議な国だったのかもよ。

(※)驚く人もいるかもしれないけど、岸の孫の安倍晋三の“アベノミクス”の時期、所得格差を示す数値(ジニ係数、相対的貧困率ともに)は縮小。つまり格差は縮んだ(今や問題はそっちかも。)

〈参考〉小林英夫ほか『「日本株式会社」の昭和史・官僚支配の構造』(1995、創元社)。小林英夫『満州と自民党』(新潮新書、2005)。なお、鯨岡仁『安倍晋三と社会主義』(朝日新書、2020)には、岸が社会党に入党を希望した話があって、笑ってしまった。

なお、本HP5632023.2.18)の「日本は社会主義で最も成功した国だ」(ゴルバチョフ)の項もご参照のほどを。

ぼつぼつ、言わせてもらうか

 そういうわけで、極めて忙しくしています。

僕の周辺でも今までの制約のいくつか次第に除去されてきました。「立場上、今まで言わないで来たこと」も、次第に「もはや遠慮は無用」になり始めています。請御期待!

 

「オトナの歴史はお金の歴史よ」史観も、さらに継続・強化中。ではまた!

 

                    ――――2023917日・記

 

★神余秀樹プロフィール

 1959年、愛媛県に生まれる。1978年、広島大学文学部史学科東洋史専攻に入学。中国農村社会史に関心。1980年3月に訪中。解体寸前の人民公社の実地見学や劉少奇の名誉回復など、“脱・文革”の流れを実感。韓国・朴正熙政権の経済構造に関する研究会の他、露・ナロードニキの“非西欧性”と文学の関係には没入(大学の単位制度は無視)。丸山真男の超国家主義論、竹内好の魯迅論、三浦つとむ「官許マルクス主義」批判や、高野孟『インサイダー』に強く影響を受けた。意図的・計画的な留年2年を経て(当時、学費は安かった)卒業後、電気通信系の民間企業を経て塾業界へ。世界史の“情報職人”となる。

198990年、在英日本人高校の講師として英国在住。産業革命遺跡などを巡る一方、崩壊直前の“ベルリンの壁”、東欧・民主化革命の現場を見る。(その後も、パレスチナ和平に揺れるエルサレム[1996]、中国への返還前夜のポルトガル領マカオ[1999]など、歴史の積み重なった現場の数々を歩いた。)
 帰国後は河合塾世界史講師として30年余り。地図と年表を組み合わせて俯瞰する立体的マトリックスの手法をめざす。講義のほか模試の作成、難関大対策業務の数々、高校の先生方対象の入試研究会や研修なども歴任。

大学の市民講座は頻繁に聴講。近年は、歴史の底流たるマネーの流れにもこだわる。

目標は「難しいことを易しく、易しいことを面白く、面白いことを深く」。

 

★著書

『神余のパノラマ世界史(上・下)』(学研プラス、2010初版、2015改訂版)

『タテヨコ世界史 総整理・文化史』(旺文社、2009初版、2022改訂版)

『超基礎固め 神余秀樹の世界史教室』(旺文社、2018