406.「★世界史魔界倶楽部・番外編」

※神余くんの世界史あいらんど…河合塾世界史講師「神余秀樹」先生(吉崎の恩師)の“ちょっとdeepな”世界史をご紹介します。

世界史魔界倶楽部・番外編

――もはや入試にはありえない。「ただの世界史オタク」問題(昔、ひまつぶしで僕が作ったオリジナル。これ、マジメに読むあなたも、よほどのヒマ人よ。)

 

StageⅠ]――世界史の現場に関わった日本人たち


[1]17世紀、アンコール=ワットを訪れ落書きを残した日本人は?
→答:森本右京太夫(実は過去のセンター試験[2007]の問題文に登場。あ、拙著『パノラマ』にも入れてます。)


[2]フランシスコ=ザビエルをマラッカから連れて来た日本人は?
→答:アンジロウ(ヤジロウ)(鹿児島の商人か侍らしい。)

 

[3]ロシアに漂着したのち、ピョートル1世(大帝)の命で作られた日本語学校の教師となった人物は?
→答:デンベエ(「伝兵衛」?)(大坂商人らしいが詳細は不詳。大黒屋光太夫の大先輩ということにもなる。それよりピョートルが日本に強い関心を持っていたことは、時のオランダ覇権との関係で重要でしょう。)

 

[4]スペイン内戦に参加、義勇兵として戦った日本人は誰か?
→答:ジャック白井(第15国際旅団リンカン大隊炊事兵)

[5]1955年のバンドン会議の日本代表は誰か?
→答:高碕達之助1960年代、中国との間にLT貿易を開く。実は、かなり凄い人。)

 

[※補足]孫文の支援者で、宋慶鈴との結婚式の仲介人でもあった人物は?

→答:梅屋庄吉(映画会社・日活のオーナー。数年前のK塾・早慶op模試でも出題。“掟破り”反則ギリギリの出題でしたが。)

 

 

StageⅡ]――激動の世界史に関わっちゃった日本人女性たち

 

[1]清朝の中国支配に抵抗した“反清復明”のリーダーで“国姓爺”と呼ばれた鄭成功の母親は?

→答:田川マツ(平戸の有力者の娘で、夫は海商の大物・鄭芝龍。彼女が浜辺で産気づいて産んだ「鄭成功生誕の地」には石碑が建っています。)

 

[2]フィリピン独立運動の闘士ホセ=リサールが日本に滞在した際の恋人だったといわれる日本人は?

→答:白井勢井子ホセ=リサールの碑が日比谷公園には残されています。小さくて探すのがやや難でしたが。

 

[3]コミンテルンから東京に送り込まれたスパイ・ゾルゲの愛人だった女性は?

→答:石井花子(彼女の出身地は岡山県倉敷市。僕も中高生の頃過ごした町です。)

 

[4]1920年代に欧州統合を提唱した墺貴族クーデンホフ=カレルギーの母親で、のち“統合ヨーロッパの母”とも称される女性は?

青山光子(欧州統合を提唱したその次男リヒャルトは、映画『カサブランカ』の主役のモデルとしても有名。

 

[5]満州国建国の背後で活動し“男装の麗人”“東洋のマタハリ”の異名をとった日本軍の女スパイは?

→答:川島芳子(正確には日本人ではなく清朝の皇族の出身ですが…。)

 

[※補足]インドネシア初代大統領スカルノの第三夫人デヴィ=スカルノの本名は?

→根本なおこ(現在も御活躍中にてコメントは控えます。末永くお元気で。ちなみに僕の考える「世に怖いものなし三大おばぁ様」:➀黒柳徹子さん、➁瀬戸内寂聴さん、➂デヴィさん。これに塩野七生さんを加えるという説も。あ、美輪明宏さんも忘れては…、え???)


〈神余秀樹先生プロフィール〉

 1959年、愛媛県に生まれる。広島大学文学部史学科卒。民間企業勤務などを経て受験屋業界の“情報職人”となる。あふれる情報の山に隠れた“底の堅い動き”。“離れて見ればよく見える”。さらに“常識から疑え”。そんな点も世界史のすごみかと思う。

 目標は「難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことを面白く」。学校法人河合塾世界史講師。

【著書】

『神余のパノラマ世界史(上・下)』(学研プラス、2010初版・2015改訂版)

『世界史×文化史集中講義12』(旺文社、2009)

『超基礎・神余秀樹の世界史教室』(旺文社、2018)